新季語探訪(24)

「舟下り」は手元の歳時記には季語として掲載されていないが、夏の季感は十分にあるだろう。京都の保津川、山形の最上川、秩父の長瀞など、「舟下り」の名所として思い浮かぶところは多い。類似の季語に「舟遊び」がある。納涼のため舟を出すことで、涼風に吹かれながら景色を眺めたり、酒肴を持ち込んで舟の宴を楽しんだりする。両者は涼を楽しむ点では共通しているが、「舟下り」が急流にのって漕ぎ下る動のイメージがあるのに対して、「舟遊び」はひとところにとどまって涼む静のイメージがあるだろう。

「舟下り」が季語として認知されたとは言えないのは、盛夏の涼を求めての舟下りのほか、桜の咲く時期の舟下りにも別の興趣があり、必ずしも夏季と定めがたいからなのかも知れない。実際、「舟下り」を詠んだ作品の中には、「桜」「花」などを主季語として春の句として詠んでいるケースも多い。

以上のような問題点はあるものの、「舟下り」を夏季と定めることにより、俳句の表現の幅を広げることができるように思うがいかがだろう。

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