佇みて百の椿の息しづか

「椿」は万葉集以来歌に詠まれ親しまれてきた春を代表する花の一つ。つやつやした肉厚の葉の中に真紅の花を咲かせる。「落椿」という言葉があるように、花びらが散るのではなく、花一つ一つが丸ごと落ちる。最も一般的な藪椿のほか、八重咲や白椿、雪椿など多くの品種がある。

掲句は近くの公園での作品。ゆっくりと上ってきた太陽が木立を抜けて椿を照らし出す頃、ラジオ体操に来ていた人々も去り、公園は静寂を取り戻す。花の蜜を吸いに来た鵯やメジロの声の中にしばらく佇んで、椿を眺めた。どれもごく一般的な一重の紅椿である。時折かさっと乾いた音がして椿が地に落ちた。令和7年作。

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