ことだまといちにちあそび四月馬鹿 行方克巳

「四月馬鹿」は西洋発の風習で、4月1日に限り軽い嘘をついても許されるとされる。その起源はさだかではない。

掲句は「四月馬鹿」の日、言霊(ことだま)と一日遊んだとの句意。言霊は言葉にこもる精霊、または霊力のこと。俳句や短歌を含め、詩を紡ぎ出そうとする人にとって、言葉に言霊をいかにして宿らせるかが唯一最大のポイントといっていい。言霊が宿らない言葉や作品は、失敗作として捨て去られ、忘れ去られる。上五中七を全て仮名書きしたところには、実利からほど遠い詩の世界、言葉の世界に深入りした作者の含羞も感じ取れる。『俳句』2025年6月号。


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