「マスク」は白いガーゼなどで口や鼻をおおうもの。風邪の感染予防や寒さ、乾燥などから鼻や喉を守る。
掲句は「隔離棟」の窓を外から見上げたところだろう。「マスク」はコロナ禍以来常時装着するものとなりすっかり馴染みになったが、俳句では冬の季語。作者が見上げたとき、「マスクの貌(かお)」が窓に現れて窓を開けたというのだ。「顔」でなく「貌」と表記していることに注意したい。それは医療従事者としての「貌」であって、作者との日常的なつながりが絶たれている一種抽象的な「貌」である。コロナ禍にあって誰もが感じていた孤独な心情が、一瞬よみがえる。『俳壇』2025年6月号。


