「月」といえば秋の月をさす。秋から冬にかけて空が澄み、月が明るく大きく照りわたる。陰暦の8月15日の中秋の名月には、芒を活け、月見団子や季節の食物を供える。
掲句は「供華(くげ)」を生けて中秋の名月を賞している情景を詠んだ作品。「供華」は仏前に花を供えることだが、この句では月に供える草花のこと。供えたのは芒や萱や泡立ち草などだろうか、丈高く伸びたそれらの草花が、どれも風を呼ぶものばかりだという。具体的な草花の名を挙げていないが、却って花瓶などに生けた「供華」のもつ野趣が匂い出てくるようだ。『俳句』2025年6月号。