筒鳥や浅き眠りのきれぎれに 片山由美子

「筒鳥(つつどり)」はカッコウ科の夏鳥。山中でポポ、ポポ、ポポと幽遠な声で繰り返し鳴く。産卵期は5月~6月で他の鳥の巣に托卵する。

掲句は高野山での作品だが、特定の場所に拘って観賞する必要はないだろう。山間の鉱泉宿か宿坊などでの一夜。旅中の浅い眠りが途切れたとき、「筒鳥」の声が聞こえてきたのだ。既に夜明けの薄明りが作者の枕辺に差しているのかも知れない。「浅き眠りのきれぎれに」との措辞には、明け易い夜を惜しむ思いが滲む。『俳句』2025年6月号。


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