明るくて躑躅を腐す山の雨

「躑躅(つつじ)」はツツジ科ツツジ属の常緑又は落葉低木の総称。ヤマツツジ、レンゲツツジなどが山野に自生するほか、庭や公園、街路などに多数の園芸品種が植えられる。晩春から初夏にかけて、色とりどりの花を咲かせる。

掲句の対象は、標高1500メートルほどの山中に咲くレンゲツツジ。花期は6月上旬頃。その頃の空合は変わりやすく、薄日が差したかと思うと、ぱらぱらと雨が通り過ぎる。「腐(くた)す」の語は、その頃のしとしと雨に傷んで溶けていくような自生の躑躅の印象を表現しようと思って使った。丁度新緑の頃で、初々しい緑が野山に満ちていた。平成19年作。『春霙』所収。

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