「春愁」は辺りに生気があふれる春の最中に覚えるものうい哀愁のこと。ふっと物思いにふけったりする軽いぼんやりとした愁いである。
掲句は、自らの「春愁」が内ポケットに入るほどだという。「春愁」という目に見えないものを見えるように表現した句といえるだろう。古風に「隠し(かくし)」などと言わずに、今風の言葉をそのまま取り入れたところに、作者の俊敏な才気が窺える。春の愁いは、作者の胸の辺りに音もなく忍び込んでくるのだろう。『俳句』2025年5月号。
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