「晩鳥(ばんどり)」は「むささび」とも言い、北海道以外の森に生息しているリス科の哺乳類。肢間に皮膜があり、木から木へ滑空する。昼は樹木の空洞内に潜み、夜間、木の芽、果実などを食べる。
掲句は「晩鳥」に棲みつかれた自らの頭を自虐的に詠む。「晩鳥」は夜行性のため、どこか妖しく神秘的な印象のある小動物。その小動物が自分の頭に棲みついたとの想念は異色だ。それも、自ら好んで棲まわせているのではない。否応もなく棲みつかれてしまったのだ。「晩鳥」が何を象徴しているのかは、読者それぞれの想像に任されているが、いずれにしても歓迎すべきものではないようだ。『俳句』2025年5月号。