俳人高浜虚子(本名、清)の忌日は4月8日。昭和34年のこの日、85歳で没した。
作者は虚子の曾孫に当たる人。掲句は、虚子の忌に際して仏壇や墓域に手向けた花々に、虚子に相応しい「晴れ」の色を認めたとの句意。「晴れ」とはもちろん天気がいいことだが、「褻(け)」に対する「晴れ」でもあり、表立って晴れやかなことをも意味する。円熟期以降の虚子は、俳人として「晴れ」の道を進んだといっていい。また、「晴れ」の色は、〈俳句は極楽の文学である〉との虚子の俳句観も思い起こさせる。虚子は、その著書『俳句への道』の中で、「如何に窮乏の生活に居ても、如何に病苦に悩んでいても、一たび心を花鳥風月に寄することによってその生活苦を忘れ病苦を忘れ、たとい一瞬時といえども極楽の境に心を置くことが出来る。俳句は極楽の文学という所以である」と記した。「晴れ」という虚子の生涯を集約するような一語が、一句の中で画龍点睛の働きをしている。『俳句四季』2025年5月号。