新季語探訪(8)

「風花(かざはな)」は冬の青空に舞う雪のこと。雪雲が日本列島を縦断する山岳地帯に堰き止められて日本海側に雪が降るとき、太平洋側では「風花」が舞う。「風花」のことを、上州では「吹越(ふつこし)」と称する。加藤楸邨(しゅうそん)はこの語を好み、      吹越に大きな耳の兎かな 楸邨                     などの句を作っているほか、昭和51年刊行の句集の題(『吹越』)にもしている。                 

歳時記には「吹越」は「風花」の傍題として出ている。歳時記に掲載されるようになったのは、昭和50年代以降だろう。一地方の方言が、佳句を得て多くの人に認知されるようになった例といえる。美しく儚い印象がある「風花」と比べて、空っ風の吹く上州の風土が色濃く表れている言葉だ。手元の歳時記の例句は、                 吹越に翔ぶや風の子川烏 星眠                         の一句のみだが、今後使ってみたい季語である。

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