「鰊曇(にしんぐもり)」は、春、鰊漁が行われる頃の日本海側の北国の空模様。南風が吹き雲が低く垂れ込める。かつて鰊漁が盛んな頃はこの空模様を目安に出漁したという。
掲句は、以前出張で青森市内に泊まったときの作品。青森港近くのビジネスホテルに二、三泊して、ホテルの近くを毎朝散歩した。奥羽本線や津軽線の線路が埠頭の先の方で尽きていた。西には残雪の八甲田山が遠く望まれた。折から「鰊曇」といわれているような、雲の多いすっきりしない空合いだった。 野晒しの客車一輌行々子 もその時の作品。 平成19年作。『春霙』所収。