春の宵は、春の日が暮れて間もないころのこと。中々暮れなかった窓の外にも、漸く闇が下りてくる。どことなく華やぎがあり、心豊かな一刻。
掲句は落ちていた「箏爪(ことづめ)」を拾ったときの思わぬ軽さを詠んだ作品。その驚きは、日々箏を鳴らしている作者にとっても小さな発見だったのだ。「箏爪」は指にはめて絃をはじく爪形の道具のこと。箏の稽古が終わった後のひと間の静かさやほっとした気分が「春の宵」の一刻を一層貴重なものにしているようだ。『俳句界』2025年3月号。
春の宵は、春の日が暮れて間もないころのこと。中々暮れなかった窓の外にも、漸く闇が下りてくる。どことなく華やぎがあり、心豊かな一刻。
掲句は落ちていた「箏爪(ことづめ)」を拾ったときの思わぬ軽さを詠んだ作品。その驚きは、日々箏を鳴らしている作者にとっても小さな発見だったのだ。「箏爪」は指にはめて絃をはじく爪形の道具のこと。箏の稽古が終わった後のひと間の静かさやほっとした気分が「春の宵」の一刻を一層貴重なものにしているようだ。『俳句界』2025年3月号。
立春を過ぎて見掛ける鶫。鶫はヒタキ科ツグミ類の野鳥で、晩秋の頃大群で日本海を渡ってやって来る冬鳥。種類も多く胸に黒褐色の斑点がある。山林や田園で冬を過ごし、日本に居る間はほぼ単独行動。晩春の頃仲間を呼び集めてシベリアの繁殖地へ帰る。春の薄暮の中から聞こえてくる鶫のやさしい鳴き声は、地味だが味わい深く、日本の地に別れを告げているようにも聞こえる。単に鶫といえば秋の季語。

春に取れた鰊を二枚におろして乾燥させたもの。傷みやすい鰊を各地に流通させるために、干物として加工された。江戸時代には、松前藩から幕府へ献上されていたという。干す期間により、本乾、ソフトなどの種類がある。初夏に出回るので夏の季語になっているが、保存食なので季節感は薄い。煮物や甘露煮、にしん蕎麦などに利用される。
