連凧の千切れ吹かるる楢の枝 朝妻力

「連凧(れんだこ)」は複数の凧を糸でつなげて揚げるもので、俳句では「凧」の傍題。凧は細い竹を骨として紙をはり、糸をつけて風力によって空高く揚げる子供の玩具だが、「連凧」といえば、子供の遊びというより、地域の行事や部落間の競技として行われる大掛かりなものを思い浮かべる。 

掲句は楢の枝に「連凧」が千切れて引っ掛かり、風に吹かれている情景を詠んだ作品。凧が揚がっている間の賑わいや華やぎよりも、人々が去り、千切れて枝に掛かっている「連凧」に焦点を当てたところに、作者の目の確かさがある。写実に徹した句柄だが、一読、空に「連凧」が揚がったときの贅沢なひと時がよみがえる。『俳壇』2025年4月号。


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