「春寒」は春が立ってからの寒さ。余寒(よかん)とほぼ同義だが、余寒よりも春への思いに重点がある言葉。
掲句は地層の縞目に露出している「貝の殻」に春寒の季感を感じ取っての作品。地層を前にして、その地の経てきた長い歳月や、当時そこは海原で貝が生息していたことなどに思いが及ぶ。気の遠くなるような時の流れと、生き物の痕跡を前に、作者は自らの半生を振り返っているのかも知れない。写実に徹して、大きな時空を感じさせる作品だ。『俳壇』2025年4月号。
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