「みもざ」はマメ科アカシア属のフサアカシアのこと。オーストラリア原産で、公園や庭などに植えられる。春、黄色の花を総状に泡立つように咲かせる。
掲句は柩(ひつぎ)に入れるため、「みもざ」の花を抱えたとの句意。故人との別れを惜しむために柩に花を入れる習わしは洋の東西や宗教・宗派を問わずあるようだ。花は菊や百合、カーネーションなどが多い。「みもざ」といえばその明るさや華やぎが、最も死から遠いイメージがある花だが、それだけにこの花を選んだ作者の思いが伝わってくる。また、春の最中に逝った故人の人となりにも思いが及ぶ。『俳壇』2025年4月号。