東日本大震災が発災したのは2011年3月11日。2022年には「新版 角川俳句大歳時記」に、「東日本大震災の日」が新たに春の季語として加わった。季語として定着してきたことを示すものだろう。「東北忌」「三月十一日」「三・一一」「福島忌」「原発忌」「フクシマ」などとも詠まれ、毎年3月が来ると、東日本大震災関連の多くの句を目にする。
三・一一神はゐないかとても小さい 照井翠
僅か十七音の詩型ではあるが、人々の心に棲みつくような句を詠み継ぐことで、震災の記憶が後世の人々に引き継がれていく。一方、秀句や佳句の裏付けがあって始めて季語としての存在感が増すことは言うまでもない。
日付を用いた季語としては、他に「三月十日」、「八月十五日」、「十二月八日」などがあり、いずれも東京大空襲や終戦、太平洋戦争開戦など、日本人にとって忘れることのできない出来事が生起した日だ。その中に慶事は含まれていない。このことは、日本人の精神の特性を暗示しているのかも知れない。