「息白し」は冬の朝晩などに、大気が冷えて人や動物の吐く息が白く見えること。
掲句は冬の凛冽たる大気の中で、作者と言葉を交わしている人を詠んだ作品。話すたびに口から洩れる息が白々と見える。だが、寒気の中で作者に向かって発せられたその人の言葉が、心にひびく暖かい言葉だった。「あたたかき」といっても客観的な温度のことではなく、この句の場合は心理的な暖かさを言っていることは言うまでもない。「なれども」の措辞にやや理が覗いているところが難点だが、それほど気にすることはないだろう。『俳句』2025年3月号。