「海鼠(なまこ)」はナマコ類に属する棘皮(きょくひ)動物の総称。冬が旬で、酢海鼠にして食べたり中華料理の食材に用いる。
掲句の「悪運」は、手元の辞書には、「悪事を犯しても因果応報を受けずに済む幸運の一種」とある。「悪運も強運のうち」との措辞は、独り心の呟きというよりも、親しい友人たちとの歓談の中から飛び出した軽口といった気配があろう。仲間の誰彼が思いのほか上手く事を運んだことを、喜びながらも軽く揶揄しているのだ。卓上に出された酢海鼠が、気の置けない歓談に味わいを添えている。『俳句四季』2025年3月号。