龍太忌の薄氷に透く魚影あり

「龍太忌」は2月25日。飯田龍太は平成19年のこの日逝去した。平成4年に「雲母」を終刊してから十数年経っていた。山住みの人にとって、本格的な春の到来が待たれる時季に当たる。

龍太忌といえばまだ春の寒さが残る頃で、早朝の川や池には薄氷(うすらい)が張り、昼の陽光に照らされてゆっくりと解けてゆく。その日は、池の薄氷越しにうすうすと魚の影が見えた。冬の間静まっていた水中のコイやフナなどの魚たちも、活動を始めようとする頃だ。釣り好きだった龍太の面影がその魚影と重なった。平成21年作。『春霙』所収。

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