「凍(こお)る」と「凍(い)つ」は基本的には同じ意味だが、「凍つ」は水分の凍ること以外に用いる場合が多く、月や星など天空のものをはじめ、山や土、ときには頬までも凍つる。木々も例外ではない。
掲句は極寒の中で「椴松(とどまつ)」が凍てた様を詠んだ作品。椴松はエゾマツと並ぶ北海道を代表する針葉樹であり、男性的な樹形のエゾマツに対して、トドマツは女性的。青々と凍てた空の下、寒風に聳えたつその樹形を、「風のかたち」のまま凍てたと詠む。身近な樹木を素材にして、北国の風土を手掴みにしたような句。『俳壇』2025年3月号。