ゆく秋の水のなかより水の声 亀井雉子男

「行く秋」は過ぎ去ろうとする秋のこと。秋は人々に惜しまれながら、一歩一歩旅人のように去っていく。

掲句は、過ぎ去っていく秋を惜しみながらせせらぎに耳を澄ませている情景だろう。「水のなかより水の声」との精妙な表現に、水のみならず万象の澄みわたる秋の深まりを覚える。『俳句』2025年2月号。


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