冬籠(ふゆごもり)は、雪国などで冬の間戸外へ出ず家に籠って暮らすことをいう。雪国でなくても、寒風の吹き荒ぶ冬は、外出を必要最小限にとどめ、なるべく家の中で過ごす。定職に就いている人は、リモートでもない限り、そうも言っていられないのだが・・・。
掲句は、俳人としての自らの営みを酒などの醸造に譬えての作品。「醸(かも)す」というのは麹 (こうじ) を発酵させて、酒、醤油などをつくること。句作や詩作も、言葉を醸す営みに他ならない。ありふれた日常の言葉にいかにして魂を宿すか、というのは俳人であれば日夜心掛けていることだろう。作者の胸中にある、この詩型に賭ける志が窺える作品だ。『俳句』2025年2月号。