「避寒」は冬の寒さを避けるために温暖な地や温泉などへ出向いて一時期を過ごすこと。夏場の避暑ほどの賑わいはなく、落ち着いた雰囲気がある。「避寒宿」「避寒旅行」などともいう。
掲句は「避寒宿」の灯明りを二等星の光に譬えた作品。天上に瞬く星々に一等星、二等星などの光の強弱があるように、温泉地や暖地の海岸べりの宿やホテルも、華やかな灯をこぼす大規模ホテルから古びた温泉旅館・民宿などまで、その灯明りはさまざまだ。作者が泊まろうとする「避寒宿」は、その中にあって慎ましやかに灯を点している。「二等星ほどに」との比喩から、その宿の落ち着いた佇まいやそこに数日滞在する作者の自足の思いが見えてくる。『俳句四季』2025年2月号。