梨食ふや水の痕跡火星にも 市村栄理

「梨」は秋の代表的な果物の一つ。赤梨の長十郎、青梨の二十世紀など品種も多く、一般的に水分に富み甘みが強い。

掲句は「梨」を食べながら、火星にも水が存在する痕跡があったことを思い起こしている。火星の岩だらけの表面の奥深くに水が蓄えられていることをアメリカの研究チームが発見したとの報道に触発されての作品だろう。時事的な話題を即座に句に取り入れた俊敏な才気を示す作品。「梨」という日常の果物から、天空の惑星への想念の飛躍が快い。汁気の多い「梨」であれば、その飛躍も自然に受け入れられる。『俳壇』2025年2月号。


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