雪雪雪雪をかさねて夜の軋む 國田欽也

「雪」は春の花、秋の月と並んで冬の美を代表する。たまに降る少量の雪は風情があっていいものだが、雪国と呼ばれる日本海沿岸の豪雪地帯では、雪は白魔と恐れられる気象現象。

掲句は「雪」の語を重ねて、いつまでも降り続ける雪を字面(じづら)の上で視覚的に表現した作品。降り続ける雪の重みに耐えかねて夜闇が軋むのではないかというのだ。雪が降り続ける不安は、夜の明け白むまで作者の心を圧迫し続ける。『俳句界』2025年1月号。


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