西へ去り東より来る年新た 正木ゆう子

「年新た」は始まったばかりの年のこと。年の始め、見るものすべてがめでたく改まって感じられる。

掲句は新たな年を迎えたことを、旧年が西へ去り、新年が東から来ると詠んだ。西に沈み、東から昇るのは太陽だが、年もまた太陽と同じように西に去り、東から来るとの感覚は、誰もが持っているように思う。人々は、一月一日の朝日を初日として特別な目で眺めるが、それは新たな年を迎えた感慨と一体になっている。太陽を神として崇めた古来からの人の信仰心にも思いは及ぶ。『俳句』2025年1月号。


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