雪の夜の小籠包の汁じゆわり 角谷昌子

「雪」は冬の美を代表する気象現象であり、賞美する対象であるが、他方豪雪地帯では時に交通手段を途絶させ、災害をもたらし、白魔と恐れられる。

掲句は雪の夜の心豊かな食卓を描き出した。雪という現象のもつ明暗の内、明の方に目を向けた作品。とりわけ、「じゆわり」との擬態語が新鮮だ。小籠包(しょうろんぽう)はよく知られているように中華料理の点心の一つで、豚の挽肉を薄い小麦粉の皮に包んで、蒸籠蒸しにした肉まんのこと。蒸し上がったばかりの汁気たっぷりの小籠包が一同の前に出される。舌を火傷しないように気をつけながら、熱々の小籠包を口に運ぶ。食べる楽しみは生きる喜びそのものだ。雪は夜も静かに降り続ける。『俳句四季』2025年1月号。


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