「冬暖(ふゆあたたか)」「冬ぬくし」は、本来寒いはずの冬の暖かい日のこと。身構えている心と身体をほっとさせる。
掲句は年老いた母を詠んだ作品。以前は何くれとなく息子や娘の世話を焼いてきた母も、齢を重ねるにつれて子供たちに労われるようになり、母自身の身の回りのことも、次第にできなくなっていく。「ただそこに居るだけで母」という措辞は、そのような老母の姿を彷彿させる。「冬ぬくし」の季語が限りなく優しく作者の母への思いを包み込んでいる。『俳句四季』2025年1月号。
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