「年新た」は一年の始めのことで、新年、年立つ、年明く、年改まる、年来る、年迎ふなどともいう。見るもの全てがめでたく改まって感じられる。
掲句は神楽の舞人が舞い終わって、翁面(おきなめん)を外したときの一瞬の感受を句にしたもの。正月に初神楽を舞って神に奉納するところは多い。作者も初詣に訪れた地元の神社で神楽を見物していたのだ。翁面を外したとき現れる素顔が、やはり翁だったというところに、軽いおかしみと目出度い気分がある。年酒に少し酔った眼には、青々とした正月の空が広がっていることだろう。神楽には宮中の御神楽(みかぐら)と里神楽があるが、この句には里神楽らしい親しみやすい普段着の雰囲気がある。『俳壇』2025年1月号。