秋雲は、爽やかに澄み渡った空に現れては流れ去っていく。高々と晴れ上がった空に浮かぶ白い雲は、秋らしい爽やかさを感じさせる。
掲句は秋雲を絹のように手に絡めたという、実際にはあり得ないことを詠む。「虚」に遊ぶ句は、一歩誤ると荒唐無稽になり易いが、この句には秋雲のさらさらとした手触りが感じられてリアリティがある。秋雲を仰いでいる作者の心のうちの、秋懐とも秋思ともつかない淡いもの思いもどことなく感じられる。『俳句四季』2024年10月号。
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