葡萄はブドウ科の蔓性落葉低木。秋の果物の一つであるとともに、その果汁を発酵させてワインが醸造される。
掲句は、葡萄が夜の間自らを醸しているという。葡萄の果実には自然酵母が取りついており、さらに、果汁中にブドウ糖が含まれているため、自然にアルコール発酵が始まるという。この句はそのような科学的な知見によるものではなく、作者が葡萄の味や色合いの変化から感じ取ったことを、葡萄が自らを「醸(かも)して」いると表現したところが面白い。自然界で天然にできるとされる「猿酒(さるざけ)」(秋季)のことが、作者の脳裏にあったのかも知れない。『俳句』2024年10月号。