葛切は葛粉の水溶きを透明に煮て冷やし固め、細い線状に切ったもの。黒蜜や白蜜をかけて食べる清涼感のある夏の食べ物。
掲句は葛切を食べながら旧交を温めている場面だろう。長い人生経験の中には、他人に話題にして欲しくないことが一つ二つあるのが普通だ。差し向かいで葛切を食べながら、お互いに「その後」には触れずに、話題は当時の思い出に終始する。葛切の涼やかさが、この句では救いになっているようだ。『俳句』2024年10月号。
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