百年の後へひと鍬秋高し 伊藤黎

「秋高し」は、秋になると大気が澄み、晴れわたった空が高く感じられること。好適な季節の到来を感じさせる季語。

掲句は、鍬を振るって田畑を掘り起こしているところだろう。〈百年後の見知らぬ男わが田打つ 美規〉という作品があるが、この句でも百年の後を思いつつ農事(秋耕)に励んでいるのだ。たった今自分が振り下ろした「ひと鍬」も、百年後の豊かな稔りの一助になればとの思いがある。また、俳句に心を寄せる一人として、百年後の文芸の分野に「ひと鍬」を加えたいとの表現者としての志も見え隠れするようだ。『俳句界』2024年9月号。


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