さやけくて金の指輪に金の傷 鈴木総史

「さやけし」は清らかでさっぱりしている、すがすがしいの意で、秋の大気の特色を表す季語。大気が澄み切って、遠くの景色がくっきりと目に映じ、物音も澄んで聞こえてくる。肌に触れる大気の感触も心地よい。

掲句は「金の指輪」に「金の傷」があることを詠む。いつどこでできた傷なのか分からないが、その傷は金の指輪の表面に金色に輝く。爽やかな気分の中で、作者は指輪と歩んできた年月を振り返る。その傷は、指輪の美しさを損ねるようなものではないことを、季語が語っているようだ。『文藝春秋』2024年9月号。


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