大根は日本人に最も馴染み深い野菜の一つで、根菜類の代表。大根の種を蒔く時季には春蒔きと秋蒔きがあるが、俳句では「大根蒔く」は秋季に分類される。8月下旬から9月上旬の頃、畑の穴ごとに5、6粒をばらまき、1センチ程度の土をかける。
掲句は大根の種を蒔いている自らを素材にした作品。「手を見つめ掌(てのひら)見つめ」のリフレインから、自らの手の動きを見つめながら大根を蒔く作者の濃密な時間がよみがえる。「掌(てのひら)」といえば、「手」よりズームアップして対象を見つめている感じがあり、「手」「掌」と畳み掛けたところも、作業の動きが見えてきて効果的だ。『俳句界』2024年9月号。