駅頭の新樹人容れ人送り 西村和子

「新樹(しんじゅ)」はみずみずしい若葉をつけた初夏の木々。古くからある季語だが、近代的な語感がある。

掲句は駅頭の「新樹」と人との関わりを詠んだ作品。駅前に亭々と聳える貫禄ある「新樹」。通るたびにいつも目にしている大木だが、今はみずみずしい若葉に覆われて装いを新たにしている。樹下には待ち合わせらしい人もちらほらと見えるが、それらの人も時間が来ると一人ずつ立ち去っていく。表現は平明だが、都会的な光景を的確に描き取っている。『俳句』2024年9月号。


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