子猫が生まれるのは春がもっとも多く、春の季語になっている。生まれたばかりの子猫の愛らしさは無類。
「プラトニック」は精神的な愛情を指す形容詞で、「プラトニックラブ」などというが、その語源は古代ギリシャの哲学者プラトン。現在使われる「プラトニック」の語義は、プラトンの思想や生き方を根っこに持っている。そんなことを考えていると、傍らの子猫が欠伸したという。何の悪意もない子猫の欠伸だが、それは肉体を離れた抽象的・理想的な存在に思いを巡らす人間たちの精神の営みを笑っているようにも見える。上五中七の措辞のしかつめらしさと「子猫あくび」の落差が、この句の俳諧味。『俳句四季』2024年8月号。