風を読むまなざしすでに鴉の子 舘野豊

鴉の営巣は春から夏にかけて。人家に近い林や市街地などで営巣し、卵の孵化から巣立ちまで1か月ほど。その後もしばらくは親鳥とともに過ごす。

掲句から、既に巣立って木や電線にいる鴉の子を想像した。見た目は一人前だが、声はか細く、飛ぶのも余り上手ではない鴉の子。巣立つ前と同様、親鴉から餌をもらって生きているのだが、それでも日々生長し、生きる知恵を身につけ、「風を読むまなざし」をしているという。「風を読む」というのも、自然の中で生きていく鴉にとって、なくてはならない生活の知恵なのだ。『俳句四季』2024年8月号。


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