「山滴る」は、緑の木々におおわれた夏の山の、万物の生命力が満ち溢れて滴るような瑞々しさをいう。
掲句は、その夏山がトンネルで胎(たい)を貫かれているという。胎は母体内の子を宿すところで、この句の場合比喩として用いられているのだが、トンネルの貫く山の深部を端的に胎と表現したところは、女性ならではの感性。現在南アルプスなどで行われているリニア新幹線のトンネル工事など思い浮かべてはどうだろう。『俳壇』2024年8月号。
「山滴る」は、緑の木々におおわれた夏の山の、万物の生命力が満ち溢れて滴るような瑞々しさをいう。
掲句は、その夏山がトンネルで胎(たい)を貫かれているという。胎は母体内の子を宿すところで、この句の場合比喩として用いられているのだが、トンネルの貫く山の深部を端的に胎と表現したところは、女性ならではの感性。現在南アルプスなどで行われているリニア新幹線のトンネル工事など思い浮かべてはどうだろう。『俳壇』2024年8月号。
「槐(えんじゅ)」は中国原産のマメ科の落葉高木。古く日本に渡来し、街路、公園、学校などに植えられる。梅雨明けの頃、黄味がかった白色の蝶形花が穂状に集まって咲く。蜂などの重要な蜜源植物でもある。

湿度の高い梅雨どきの大気中の水蒸気により発生する霧のこと。「夏霧」よりも暗鬱な印象がある。夜通し雨が降り続いた明け方などにしばしば見られる。「梅雨寒」「梅雨湿り」「空梅雨」などとともに、「梅雨」の関連季語の一つ。

夏至後の第3の庚 (かのえ) の日を初伏、第4の庚の日を中伏、立秋後の最初の庚の日を末伏といい、この三つをあわせて「三伏(さんぷく)」という。おおむね7月中旬から8月中旬にかけての期間であり、夏の最も暑い時期である。
掲句は日照雨(そばえ)が降った後の野山の雨つゆの光に、夏という季節のいのちを感じ取ってできた作品。雨雲が過ぎた後、野はきらきらと元の明るさを取り戻した。声を潜めていた諸鳥も鳴き始めた。夏の全貌が込められているような「三伏」という季語が、この場合ピッタリだと感じた。平成30年作。
サギ科シラサギ属の総称で、大鷺、中鷺、小鷺がある。大鷺、中鷺は秋に南へ去る渡り鳥だが、小鷺は留鳥として冬に残る。水田、沼沢、川の浅瀬、干潟などで魚類を餌とする。繁殖期により夏季に分類される。
