卯の花腐しマリー・ローランサン青し 花谷清

「卯の花腐し(うのはなくたし)」は、初夏、卯の花の咲く頃降り続く長雨のこと。

掲句は、マリー・ローランサンの絵画と、卯の花を腐しながら降る初夏の明るい雨を取り合わせた作品。マリー・ローランサンはフランスの画家で、パステルカラーで婦人や少女たちを少し眠たげに優美に描く画風で知られる。「マリー・ローランサン青し」との大胆な断定は、透明感のある青い背景の肖像画などを想像させ、新緑の草木を濡らす折からの「卯の花腐し」と調和する。『俳句界』2024年8月号。


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