「麦秋(ばくしゅう)」は「麦の秋」ともいい、5月下旬、麦が黄熟し刈り入れ間際の頃をいう。自ずから、風に乾いた音を立てる黄金色の麦畑の風景が思い浮かぶ。
掲句は「麦秋」という開放感のある季節を背景に、日常の一齣を切り取った作品。椅子の上に読みさしの本を伏せて置くというのは、日常目にする何の奇もない情景だが、「麦秋や」との上五により、屋外に持ち出された椅子とその上の本が、作者の心豊かな日常を映し出す景物として、確かな存在感を持ってくる。『俳壇』2024年8月号。
kknmsgr
Δ