折鶴に尖るくちばし夜の新樹 ふけとしこ

「新樹」は、みずみずしい若葉をつけた初夏の木々のこと。「若葉」「新緑」など類似の季語があるが、特に木々の姿形に焦点を当てたい場合、「新樹」を用いることが多い。近代的な語感がある。

掲句は窓の外の「新樹」が闇に沈んだ夜、折鶴の「くちばし」がふと目についたという。折鶴は最もポピュラーな折り紙の一つだが、普段は折鶴の「くちばし」を意識して眺めることはない。その夜は折鶴が命あるもののように眺められた。開け放ったままの窓からは「新樹」の香しい香りを含んだ風が柔らかに吹き込んでいるだろう。『俳壇』2024年7月号。


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