「初蝶」は春になって、その年初めて見かける蝶のこと。モンシロチョウやモンキチョウなど淡々しい色合いの蝶であることが多い。
掲句は、心の中で母を呼ぶと、呼んだ方向から白い初蝶が吹かれてきたという句意。初蝶といえば白か黄色の小振りの蝶を思い浮かべるが、この句の「白き初蝶」には、遠くへ行ってしまった母の面影があろう。何物にも汚されない母への追慕の思いが、「白き初蝶」を作者に送ってよこしたのだ。母恋いの一句。『俳句』2024年6月号。
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