アメリカは、第二次世界大戦末期の昭和20年8月6日に広島市に、続いて9日に長崎市に原子爆弾を投下した。現在も多くの被爆者が放射能の後遺症に悩まされている。
掲句は作者の「自選30句」の中の一句であり、新作ではないが、今読んでも新鮮な感銘を覚える作品だ。切り取ったのは、公園の遊具などでのごくありふれた場面に過ぎないが、人間の身体の他の部分を省略して、「手」にズームアップしたところがこの句のポイント。その不気味さは、否応なく原子爆弾という殺戮兵器のもつ非情さ、不気味さにつながる。『俳句界』2024年6月号。