俳人高浜虚子の忌日は四月八日。昭和34年のこの日85歳で死去した。丁度仏生会に当たる。
掲句は「花びらの水」を先立てて巡って来る虚子忌を詠む。折から桜が盛りを過ぎて散り急ぐ頃。「花びらの水」は、花びらを含んだ水というほどの意味。一面に落花が散り敷いたところに水を打つと、水は花びらを含みながら地面を流れ出す。或いは花びらを浮かべて流れる小さな川を想定してもいいだろう。「先立てて」との措辞のもつ空間と時間の両面の意味合いが活かされている一句。『俳句』2024年5月号。
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