「木の根明く」は、木のまわりの雪がいちはやく溶けて、土があらわになること(春の季語)。雪国では、春先、山毛欅(ぶな)や櫟などの木の根元に積もっていた雪が、丸くドーナツ型に溶け始める。本格的な雪解けが始まる前触れだ。
掲句は「木の根明く」という風土色豊かな季語を使って、作者が定住する雪国の春の訪れを詠んだ作品。大地にしっかり根付いて年々生長してきた大木の姿が彷彿する。作者も木々も、待ちに待った春の訪れをよろこんでいるのだ。『俳壇』2024年5月号。
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