「仏生会(ぶっしょうえ)」は釈迦の誕生日とされる4月8日にその降誕を祝う法会。各寺院では誕生仏を花御堂に安置し、参詣者はその像に甘茶をそそぐ。全国で行われるようになったのは、室町時代以降。仏生会に甘茶をいただくと無病息災で過ごせるともいわれる。
掲句は仏生会が行われる頃の季節感や気分を「顔つつむ茹で菜の湯気」で表そうとした作品。その時も、知人から頂いた大量のほうれん草を大鍋で茹でた。茹で上がった菜を笊に上げると、香しい湯気が顔を包んだ。仏生会の頃の大寺の厨房を想像してもらってもいいだろう。平成23年作。