囀りに飽きたる鳥が頬掻けり 堀本裕樹

「囀(さえずり)」は繁殖期を迎えた小鳥たちの鳴き声で、多くは求愛や縄張りを知らせるためのもの。春になると、ホオジロやシジュウカラなどが高い梢などに姿を見せて、美しい声で鳴く。

掲句は囀りの最中の鳥ではなく、囀りに飽きて鳴き止んでいる鳥の姿を描き出した。囀りの合い間の鳥たちの仕草を描出しているところが面白い。目にしなければ描きえない鳥の一瞬の動作が、一読生き生きと目に浮かんでくる。『俳句界』2024年4月号。


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