地中海沿岸原産のマメ科ソラマメ属の一年草。古く中国経由で渡来。植物学上の標準和名はヤハズエンドウ。本州以南で自生し、畑、道端、空地などで普通に見られる。春から初夏に葉腋に短い総状花序をつくり、エンドウやスイートピーに似た蝶形・紅紫色の花をつける。通常の歳時記には載っていないが、「豌豆の花」と同様春の季語として扱うことができるだろう。

「春愁(しゅんしゅう)」は生気の溢れる春だからこそ覚える物憂い哀愁であり、軽いぼんやりした憂鬱な感覚であり、そこはかとない愁い、哀しみである。「春愁(はるうれ)い」ともいう。
掲句は、素干しの小エビを眺めていて、ふと、その黒いつぶつぶの目に、生の痕跡を感じ取ってできた作品。素干しにしたエビは、炒め物、煮物などの料理の脇役として欠かせないが、小さなエビのそれぞれに黒い目が二つずつあることに改めて気づいたとき、一匹一匹の生と死に思いが及んだ。生きていたときの形のままに素干しになっているエビの哀しみが、胸をよぎった。平成22年作。
スズキ目ハタハタ科の深海魚。アラスカから東北地方にかけての海域に棲息する。初冬の頃産卵のため深海から浅海へ移動するとき漁獲する。冬雷が鳴る頃漁獲量が多いことから「雷魚(かみなりうお)」ともよばれる。「塩汁(しょっつる)」は鰰を使った秋田地方の郷土料理。

「蕗(ふき)」は日本原産のキク科の多年草で、山野に自生する。「蕗の薹」は蕗の花の蕾のこと。早春の頃、地下茎から苞に包まれた花芽が地表に顔を出す。花の開かないうちに摘み、天ぷらや蕗味噌などにして食する。春を代表する山菜の一つ。花が咲いた後、地下茎から葉が出てくる。

「春陰」は曇りがちな春の天候のこと。花曇とほぼ同じ意味だが、花時に限られない。
掲句は銀座の画廊を巡ったときの、重たいドアの押し心地を句にしたもの。「花疲れ」という季語があるが、その時も、春の物憂い感じが私の心身を支配していた。別にこれという目当てがあって画廊を巡った訳ではなかったからだ。人体の形をしたドアノブの冷たい感触、画廊に入ったときに見知らぬ人から受けた視線、画廊内の時が停止したような静けさなど、その時のことが今でもよみがえる。平成22年作。